平塚柔道物語その1
平塚柔道協会 理事長 奥山晴治
2006年7月1日

1. 平塚柔道物語・その1

柔道を見直して子供たちに未来を

 今年の4月、平塚市立浜岳中学校の父兄20人と懇談した。父兄といっても、柔道部に所属する生徒の母親であった。 その母親に話をうかがったが、大変印象的だったのは、部活担当の真田教論を心から尊敬し、感謝していたことと同時に、 柔道部に入部してからの子供たちの成長ぶりを喜んで話してくれたことである。

 Aさんは「体の小さな息子が、試合のときに、大きな体格の選手に猛然と飛びかかって行く姿を見て感動しました。 よくぞたくましい息子に育ってくれた・・」と。

 Bさんは「少しの怪我などでは、絶対部活を休まない。お前、休んだら、と言っても聞かない。 そんな根性を何時から持つようになったのか・・」と。

 Cさんは「子供が帰宅すると、必ず1日の出来事を話すようになった。特に部活の話が中心になっているが、 親子の会話ができるようになったことがうれしいです。」と、語ってくれた。

 話は変わるが、平塚市の総合体育館の柔道場の出来事であるが、現在週3回、小学生を含め100人以上の練習者がいる会場に、 元平塚柔道協会の会長であるI氏が久しぶりに訪れた。 その時、小学生数十人からいっせいに「今晩は!」と大きな声で挨拶され「感動した」と語っていた。

 また「柔道やったおかげで、近所の方からも『お宅の息子さんはよく挨拶してくれる』と言われます」と、 生徒の母親から喜びの声を聞く。

 このような話を聞くにつけ、礼儀を重んじる日本文化、特に柔道をもう一度見直すべきではないのかと思う。

 フランスの柔道人口は、日本の柔道人口の2倍といわれている。調べてみると、サッカー、テニスに次いで3番目が柔道となっている。 2002年の調査によると、柔道人口は576,000人であるが、そのうち75%が15歳以下の少年であるという。

 そのメリットのひとつは、礼儀正しくなること。2番目は、受け身を取得することにより、一生事故から体を守ることになる。 3番目は、体力と根性づくりである。このように、少年たちの教育に重要視されているフランスに注目したい。

 現在、日本では少年の犯罪や事件が多くなってきている。また、「きれる」とか「むかつく」という言葉がはやり、 パソコンゲームなどの一部の脳しか使わない子供たちも多い。そこで「精力善用」礼儀正さと心身共に鍛える日本の文化「柔道」を もう一度見詰め直し、日本の少年たちの未来を確固たるものにしたいものだ。

(文化と心のふれあい研究所所長)
(HIRATUKA 市民ジャーナル 連載記事より抜粋)

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